くにとこたちの命(国常立尊)


 北水土水霊主  

  

 月様は御心現われて御守護下さる真実は情け水の心親心にて世界万物の親様故子を養いたい十分与えて満足させたい。又心静め澄ましてやりたい。治め方一条の神様、大陰の働き大海の如く御心にて情けなり。陰より万物を生い育て下さる。

 下が可愛いと云う故に水は何所へ流るとも、下へ/\流れて世界全体切れ目無く巡環して止まず。水は神の心也、水は六っくの源、正直なり、素直なり、源は見えぬ故にみずと言う、源とは皆の人間万物の元なり。みはいざなみ様が月様の世界へ人間産みわし下されたる理、水は千変万化霊妙不可思議の妙用を供え、万物の元万の徳を出現するもの、万物の親也。水は心なり、心は陰なり、陰は夜なり。情けは水、誠、月様元々の御本心なり。

 此の世は水の中なり、水の世界なり、水は世界の元、此の国土を始め一切万物は皆其の元は水の固まりにて成れるものなり。身内にては目胴体潤い、水気保ちの御守護身体は月様の清水の固まりなり。心魂は正直清浄なる神の分心なり。

 

  月様が体内の水気を計りて守護下さる。水の潤いが働き下されて目が見え、耳が聞こえ物を云う精神の働きが出来、各々道具の自由用自在が叶う。世界も同じ水一切御司り、水の根を御保ち下さる。水にて泥固まり土塊を生成す、陸地保ちの御守護、元は泥海也。水泥分けて陸地を造り、天地を開闢せられて陸上に万物が生ずるに至る。泥水を澄まして水中に魚貝の類生息するに至れり。

 

 宇宙の万物いわゆる森羅万象ことごとく水より生じ、水にて生命を保つ。天上天下水の入込み働かざる所なし。水土合して草木生じ、万物皆同じく水土無くては生ぜぬ。水気を吸い雨露の潤いを受けて生長発育をなす。水に温みが添いくだされて一体となり、息風空気生じ万物生成し化育をなす。空気は水に温みが添うて有るものなり。

 

  火も元素は水なり。水有って火が有り、火が添うて水気が働く。陰有って陽有り、夜有りて昼有り、火の中に水あり水の中に火あり、水も温みと風がなくては流れぬ。温みが添って柔らかとなる水があるから火が燃える。水中にも温みが添って有る故、魚貝も育ち、生殖生活が出来る。水透き通り物の写るは火がある故、日が有るから日光が写る。水に温みが添って風となって入込み下さって、人間も息を吸うて生きる。風有るから鳥でも空中をたつ事が出来る。皆水が本元也。暖かみが添って陽気と成る水は物を固める。火は物を柔らぐ、堅いは男、柔らかいは女。

 

 人間男女も同じ水気に温み二つ有って昼夜を生ず。昼夜有って四季あり、月日あって天地あり。月日の根がありて十二支、十二支有って東西南北艮坤巽乾八方が定まり、天地陰陽の気にて人間万物生い育つ。此の陽気は即ち月日の御心也此の陽気に合わぬ心を埃というて病生ずる。天地の陽気は千古不変人間の心は誠が定まらぬゆえ変る。変りやすきは人間の心、変らぬは天の理也。

 

  天地間万物一切は月日二神水気温みの二つなり。是れを守護下さる道具神様六柱人間は八社の神様寄って一つの体と成り給い組み立てで下さる故に神の八形と言う。月様は日夜万物に水を授け貸し下さる。日様は温み火を貸し下さる。東より上がり給い日々に日を貸すゆえひがしという。人間始め一切動物は水気温みの借り物。身上は此の二つ入込み、月日和合下されたる証拠の現物なり。粒毛草木食物に味わいの付くのも水気温み、飲み食いの出来るも、立ち働きの出来るも、食物の味わいの分るも皆水気温みの力より外にない。

 

 例えば朝起きれば洗面水使い、御飯食物を拵える神様の真実が食物となって体内に入って下さるで生きて立ち働く事が出来る。或いは洗い物入浴、何を成すにも水無くては一切が出来ぬ。酒、醤油、酢、穀物、野菜、果物、塩、魚類など飲食に供する物は勿論衣類使用道具家屋に至る迄衣食住ことごとく水気温み作られたるもの也。此の世は月様のつきんと言う世界にて万物は何程人間が取っても減らすと尽きる事なし。あるいは海山野原の物材木土石穀物野菜魚貝金銀等あらゆる世界一切の物捕っても食べても尽きた事なし。

 

 海川池沼堀天にも地にも如何な高山にも水が湧く。山にも谷にも里にも水の無い所はない。水中には魚貝の類藻苔皆水の守護を受けて育つ、皆人間の用に立つものばかり。田地山林畑の作物は勿論汽車汽船電車電燈ガスの類。諸機械の運転を以って運搬製造等ことごとく、水の働きによらざるなし、水の徳は有形無形に渡り説き尽くせず宇宙一切の元動力也。

 

  両眼は月日、目は月日と云う月日鏡ともいう目は辛なり一目と言う、人間命の根、全てのものは目から出来る。此の二神一番の親命の親元なり、目程大切なるものはない、物を見て楽しみが有る。例えば山海の景色、人と交際家庭の快楽見物事芝居や活動を見て楽しむもすべて物を見分けて人間の楽しみを得る事が出来る。もし目が見えざれば如何であるか。目は水晶と同じ明水。

 世界に取っては清水の湧き出ずる水は井戸川の水身体に潤わし下さる水は大海の水なり。故に汗は塩からい如く大海も同じ。月様の水に日様の光が写って月日並びて明らかとなる。其の明らかが心に写ってみえる見ると言う。

 

 智恵というもの力というものを神が貸し下さる月日陰陽和合の賜物なり。考える思う物事を覚え忘れぬ心に保つは月様の力なり。心に取れば水、心情け深いと云う親心、人を養育する心正直、足納が素直と云う人情、仁心、同情という心広く情け心深く、大きい大量の心、大海の如き人を育てる大徳。情けの深いものは目が利く、例えば親は我が子の事によく目が利く。是れは我が子に対して情けが深い故、よく見分けがつくが如し。見分けの出来ぬは情けのない小さい心の身欲から心が暗くなる。

 

 天理は素直と云うて、人の云う事を用い早速な心が神の心に叶う。例えば道を守る人間が我の意見思惑、我の我が有ると、神に素直にない故、神が道具に使いにくいが如く、人は神なり。目上親神は神。人の云う事を聞かず用いず、我の勝手のみを用うる者は失敗すると同じ。身の内に有るもの世界に有り、世界有るものは身の内にある、と仰せ下さるは身体だけに世界中の事は無いが心の理に皆有るなり。

 

 故に身の内の理と世界にあるものの委細の理を聞けば如何にも身体は神様であるという事が知れる。そこで神の特別顕現たる人体の構造を内観考察して神有る事も神の守護深き慈悲の程も了解が出来る。全て身体の病気は熱が出るというは水気の根が切れる月様の守護が薄くなる。水を下さらぬ故に温熱が高くなりて苦しく身の自由食事も出来ず精神の働きも狂うに至る。日様が温熱を増すにあらず皆病気其の他一切水が元なり。

 

  月様の御心は水。一番地の低い所/\と回りて万物を養い下さるは下が可愛い/\の情け也水程力の有るものはなし。千人の上に立てば心は千人の下に置くというは情け。親心故千人の人の心がよく見える目が利くゆえ頭になれる。高い心は下る心低い落ちきる心は上る道。水心人に情けをかけ人にしてやる骨折る低い心は徳の殖える心。人に貰いたい心高い心は干る心、徳の減る心。しかし、心の低いと云う理は即ち誠であるが如何なるものが真に心使いの低いと云うものであるか高いと云う理であるが人間上では中々分りにくい天理から見ねば分らん。苦労して来た人程同情心が強い。

 

 此の度の親様の理は親の心にならねば分らん。又徳を積み陰に徳を積み力を入れねば心に治らん。又親不幸の埃あれば分りにくい。情けと云うのが月様元々の御心故、男には情け心が強い。どうかあの者に難儀をさせまいと始終心に思う心、隔てなく人を育てる養う心。女は日様の分心故慈悲の方が強い。食物を与えたり施したりする世話をする如く、暖かい心親切。

 

  何からでも人を助ける、人の為になろう、引き立ててやろうと思う心あれば、人の事に心が届く、目が利く、見分けがつく。情け心なくして我が人にして貰いたい欲しい方ゆえに欲で目が利かぬ、見分けがつかん。水の世界と云う事が分らん故の事。

 

 神様の清い水、入込み清き心にて御守護下さるに人間の汚きよごれたる心を以って身を使う故、守護が出来るようになる。正直、清浄な心さえ使えば結構に通れる。心低くして人を容ると云う量なくては大海に成れぬ。大海の水は何所からでも、何からでも八方より流れ入りて大海となる如く、心大量にして大海となれば広く濁らぬ。万の物を養育するのは力大なり。

 

 人の心もまた同じ、誠の徳を備うるものは人を感化する事大なり。小川は僅かな事でも濁る、少しの物でも障る如く少量にして朝の心が夕に変わる如き心にては人の上に立ちて教える事は出来ぬ。古言に、豪傑涙に脆しと云う如く英雄豪傑は情が深い、情けが深いから徳が付くのである。情けが深い故、此の人の為には命をも惜しまんという様な家来が多いから大将が出ると軍が強い。情けは月様是れより尊きもの無し。

 

 いわゆる人は情けの下に住む。又情けは人の為ならずと云う如く、水の心を親心と云う、水の心を情けと云う、此の世の王なり長なり。水は万物の元。万物の長、万物は水より生じ水を以って養う。水は宇宙間に満ちて切れ目なく如何なる高山、原野、山林谷底迄も循環して止まず万物を続ぎて養育するものなり。

 

 又方円の器は従うてよく其の効用を成す。優しくして正直なる根元、其の力有る事無上なり。優しくして如何なる巌でも通す力有るものなり。下に有りては海、川、池、沼、堀、井戸として人間を始め万の物を養い上に登りては雨となりて万物を養う。気体となりて万体の原動力となる動物植物等に至る迄水の養わざるものなし。此の大徳が親の心情けなり誠なり。

 

  一例、酒は清水寒の水変わらん。清浄のもの其の月様の清水で洗う故、包む事が出来ぬ、本性が現われる。物を洗うにも水で洗えば何物で汚れたと云う事、又本性が分る如く人間も酒を呑んで気が違うと云う、或いは怒り乱暴喜ぶ放蕩。或いは女色に溺れるなど皆本性が現われるなり。

 又酒は甲乙つきよみの尊の理となる。心が立つ気が荒くなる。月様の御心は足納という誠なり、不足のなき心澄み切るという。欲しいと云う埃を去って、心清浄に成るに従い、情け心広く大きく成る万の徳は、是れより出ずるものなり。