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日本のマスコミが黙殺するウクライナ東部の大虐殺

先日ツイターでも紹介したが、ウクライナ東部の大虐殺が次第に明るみにでてきた

4000人以上の人が虐殺され、1000人以上が負傷を追っているとのニュースだ。ユーラシア研究所の研究員中澤孝之氏のご厚意による正鵠を極めたレポートが当方に送られてきたので皆さんにシェア―することにする。

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ウクライナ東部でジェノサイドー多数の住民遺体発見  ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は10月1日の記者会見で、「ウクライナ東部のドネツク市の近くで集団埋葬場所が見つかり、400人以上の遺体が発見された。これは恐るべき戦争犯罪である」と言明した。そして、同外相は、「西側のメディアはこの事件について明らかに沈黙している」と付け加えた。  確かに、邦字紙も含め多くの主要な西側の報道機関がこの集団虐殺(ジェノサイド)事件を報じた気配はない。いろいろ調べて見ると、集団埋葬所が最初に発見されたのは、およそ1週間前の9月23日であった。  この集団埋葬場所はドネツクから北東に35キロ離れたコンムナル村で3カ所あって、地雷や手榴弾の配線を除去していた親露派兵士によって、うっすらと土が盛られた4体の遺体が偶然、発見されたという。1人は男性、女性が3人で、そのうち1人は妊娠していると見られた。4人とも普段着で、手を縛られ、頭部に銃弾の跡があった。2人は頭を切り落とされていたという。さらに、ドネツク市の北東35キロのニジニャ・クルインカ村の炭鉱場敷地内の2カ所で見つかった複数の遺体も、同じく身体に拷問の痕跡があり、皮膚にナチスを象徴するカギ十字の焼き印が押されていたと伝えられる。ドネツク人民共和国のアレクサンドル・ザハルチェンコ首相によれば、9月26日の時点で、約40の遺体が発見されていた。  遺体発見の翌日9月24日には欧州安保協力機構(OSCE)の特別監視団が現地に赴いた。監視団によれば、8月後半に行われた犯罪の跡を示す証拠が見つかったという。国連人権高等弁務官事務所(UNHCR)のウクライナ・モニタリング使節団も、遺体発見直後に現地調査を行った。  9月25日ロシアのリア・ノーボスチ通信社が伝えたところでは、英国のヘルシンキ人権グループの創設者の一人、ジョン・ローランド氏は、ドネツク人民共和国政府は大量遺体発見の事実を国連と国際刑事裁判所(ICC)に通知するべきであると述べるとともに、「この事実を西側のメディアが報じないのは恥ずかしいことだ」と言明した。   こうした埋葬所のあった場所は、9月21日までウクライナ国家親衛隊の部隊が留まっていたことから、この部隊の仕業ではないかと見られている。遺体を発見した親露派兵士の一人は「埋葬地の近くに国家親衛隊の乾燥した配給食糧が見つかっている。われわれはこの場所から彼らを追い出したばかりだ」と語った。   国連総会に出席したラブロフ外相は9月26日、国連での記者会見で、ドネツク郊外で多数の遺体が発見されたことについて、潘基文国連事務総長や、OSCEのランベルト・ザニエル事務総長、ディディエ・ピュルカルテ議長と協議したことを明らかにし、「ウィーンで発表されたOSCE報告によって、彼らは民間人であり、しかも、拷問による暴行を受けたうえに、事実上、至近距離から射殺された可能性があることが、とりあえず確認されている。われわれはこのことに深い憂慮の念を抱いている。調査の結果が出ないうちは誰をも非難することはできないが、そうした調査が実施され、それも公開の独立した調査となるように強く求めていく」と語った。  ロシアのチュルキン国連大使は9月30日、国連安保理事会に書簡を送って、集団虐殺事件への注意を喚起した。同書簡には「犠牲者たちに懲罰が加えられたのは明白だ。後ろ手に縛られ、頭に銃撃の跡があった。遺体のそばには薬莢が見つかった。これらの市民がウクライナの軍人により無慈悲に殺害されたと推測できる根拠がある。埋蔵場所発見の2日前、ウクライナ政府軍と国家親衛隊の戦闘員らが、この地区を離れている。彼らは長いあいだ、この地区を支配下に置いていた」と述べられている。  一方、ウクライナ政府は国家親衛隊による大量殺戮を否定し、その時期には国家親衛隊の戦闘員は一人もいなかったとしながらも、なにがしかのウクライナ軍兵士たちが当時そこに展開されていたことは認めた。  「ロシアのFBI」ともいわれるロシア捜査委員会(RIC)は9月29日、ウクライナ東部のドネツクおよびルガンスク(ルハンスク)各人民共和国のロシア語使用住民に対するジェノサイド事件の捜索開始を決めた。発表によれば、ウクライナ政府幹部、ウクライナ軍、ウクライナ国家親衛隊、それに右派セクターは両共和国に住むロシア語使用住民の完全抹殺を命令し、彼らの行動によって2500人以上の住民が死亡し、さらには30万人以上の住民が生命の危険を感じ、避難を求めてロシア領内に移住してきたという。  RIC報道官のウラジーミル・マルキン氏が10月1日発表したところによれば、ドニエプル志願兵大隊所属のセルゲイ・リトビノフと名乗る兵士を逮捕したところ、住民殺戮を供述したという。この志願兵大隊は、キエフ当局が東部での住民抹殺軍事作戦を開始した4月に結成され、のちに国家親衛隊に吸収されたという。殺人罪で告発されたリトビノフは精神医学テストのためにモスクワに移送された。なお、アムネスティ・インタナショナルはウクライナ志願兵大隊による犯罪と人権侵害にはウクライナ政府に責任があると断定している。  今年4月12日は、米国のジョン・ブレナン中央情報局(CIA)長官が極秘裏にキエフを訪問した日で、その2日後に、アレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が米国とNATOを後ろ盾にして、民族浄化作戦開始を承認したことで知られている。「民族浄化作戦」の幕開けであった。  RIC捜査総局はまた10月2日、ウクライナ国防相ワレリー・ヘレテイ、参謀総長ビクトル・ムジェンコ、ウクライナ軍第25旅団司令官オレフ・ムイカサ、第93旅団幹部などを名指して、ロシア刑法第357条に基づいて刑事告訴に踏み切った。犯罪要件は東部における国際法で禁止されている兵器(一斉射撃システム「グラード」「ウラガン」、戦術ミサイル「トーチカU」など無差別攻撃用銃火器)使用とジェノサイドである。同委員会の調査によれば、ムジェンコ参謀総長、ムイカサ司令官および第93旅団司令官は9月3日から5日の間、ロシア語使用の東部住民の完全抹殺を命令したという。  こうしたウクライナにおける「民族浄化作戦」、つまりロシア系住民根絶(民族浄化)作戦の陰には、ウクライナのオリガルヒ(新興財閥)の一人といわれる人物がいる。アルセニー・ヤツェニク首相に任命されたドニエプロペトロフスク知事イゴール・コロモイスキー氏だ。イスラエルとウクライナ両国の市民権(キプロスのパスポートも所有しているとか)をもち、ジュネーブを生活の拠点にし、推定資産28億ドルで、ウクライナの4番目の富豪といわれている人物である。  なお、ドニエプロペトロフスクという地名はブレジネフ時代にモスクワに2回合計9年間滞在した筆者にとって懐かしい名前だ。39年ドニエプロペトロフスク州党書記に、さらには戦後の46年同州党第1書記として活躍した、のちの党書記長レオニード・ブレジネフにとって非常に縁のある場所であった。  コロモイスキー氏は今年4月、武装集団「アゾフ」を組織した。右派セクターから流れてきた200人ほどのメンバーで構成されているといわれる。その約半数は犯罪歴があり、6月14日のキエフのロシア大使館襲撃事件の中心的存在だったと伝えられる。コロモイスキー氏はそのほにも、「アイダル」「ドンバス」「ドニエプル」(前記の兵士リトビノフが所属)といった武装グループも作ったという。  このコロモイスキー氏に対して今年6月21日、ロシアの検察当局はウクライナのアルセン・アバコフ内相とともに国際手配をし、さらに7月9日にモスクワ市バスマンヌイ地区裁判所は、これもアバコフとともにコロモイスキー氏、不在のまま逮捕命令を出した。ウクライナ東部におけるロシア系住民に対する重大犯罪の容疑である。  また、RICは9月2日、コロモイスキー氏が共同経営している株式会社「エリト・ホールディング」のモスクワの事務所建物を差し押さえた。ウクライナ東部におけるロシア系住民の女性や子供を殺害した犯罪行為に財政支援をした容疑である。  コロモイスキー氏自身、ドネツク、ルハンスク両州に対する活動的な戦闘を宣言し、軍事的費用の拠出を申し出ていた。前述の逮捕された兵士リトビノフは、ルハンスク州で女性や子供を殺害したことを認めるとともに、コロモイスキー個人の基金から報奨をもらったことを自供している(10月1日タス通信)。  ロシア下院議長のセルゲイ・ナルイシキン氏は10月3日、「ウクライナ東部におけるジェノサイドの証拠は、ますます多くの大量墓場の発見で顕著になっている」と述べて、ロシア語使用住民に対するウクライナ当局の「犯罪」を厳しく非難した。  一方、リア・ノーボスチ通信が10月2日ワシントン電で伝えたところでは、米国務省のジェン・サキ報道官は10月1日のプレス・ブリーフィングで、ウクライナ東部で発見された大量の墓地の調査を米国は完全に支持する」と言明したという。しかし、その後は米国やウクライナ当局の目立った動きは伝えられていない。   10月5日に開かれたジュネーブでのOSCE会議でロシア代表はウクライナでの民間人に対する戦争犯罪の調査を強く要求した。また、ラブロフ外相は10月6日、ジェノサイドに対する調査が一向に進んでいないことにいらだちを隠さず、国連やOSCE、欧州議会など国際機関がウクライナにおける戦争犯罪の調査に共同で進めるよう強く要望した。こうした発言も一般のマスコミでは完全に無視された。  ウクライナのオデッサでは5月2日に、反政府デモ隊、サッカー・ファンとユーロマイダン活動家との間で衝突が起き、デモ参加者らは労働組合会館に閉じ込められ、放火されて、少なくとも48人が死亡、214人負傷するという惨事があった。事件の責任の所在はいまだに明らかでないし、西側マスコミもそれを追及する気配はない。ついでながら、ジョー・バイデン米副大統領が4月22日にキエフを訪問したが、それに合わせて政府幹部によるオデッサ工作会議が開かれ、そこに「民族浄化」の黒幕コロモイスキー氏もオブザーバーとして参加していたといわれる。  10月10日ロシアのメディアが報じたところでは、UNCHRはウクライナにおける監視ミッションの6度目の報告で、同国南東部での戦闘による死者は3360人であることを明らかにした。同文書は、「反テロ作戦地帯の居住地への砲撃はウクライナ正規軍によっても、分離主義者(親露派)によっても行われた」としながらも、「居住地への無差別砲撃の事例のいくつかは、ウクライナ軍によるものと見られる」と書かれている。もっとも、ロシアの軍事専門家ビクトル・リトフキン氏は次のように報告書の公平さに疑問を呈している。  「それは、ウクライナ側の情報に基づいているので完全なデータとは言えない。ウクライナ当局は、単純なあるいは明らかな理由で、住民の死者の数を少なくしている。国際社会に悪い面を晒したくないからだ。次の報告には、東部諸州で活動しているOSCEのデータ、さらには分離主義者らや一般市民の情報も加えるべきだ。今のところ、すべての民間人の墓場が発見されたわけでなく、ドネツクの死体安置所にはまだ身元が確認できていない400人の遺体がある。すべてこれらの事実は、さらなる分析、文書作成や客観的な結論を必要としている。われわれはウクライナでの戦争犠牲に関する全容を知るとき、それをウクライナ東部の州の住民に対するジェノサイドと呼ぶことができるだろう」  ドネツク人民共和国副首相アンドレイ・プルギン氏は9月22日、ウクライナ東部での死者数について、4000人以上と、国連の示した数字を上回る数を挙げていた。  ドイツによるホローストを思い出させるウクライナ東部でのジェノサイド事件は、7月のマレーシア航空機撃墜事件(馬渕睦夫元ウクライナ大使は近刊「世界を操る支配者の正体」[講談社]の中で、事件解決のために米国は衛星写真を公開すべきと主張している)と同様、うやむやのうちに闇に葬られ去る気配が濃厚である。        (了)