言葉の大切なる心得可き根元の理

 善に仕えば月日なり、悪に仕えば計斗羅喉なり。善き詞にて国を治め人を助く、悪しき言葉にて国を乱し人を倒す、我が身を倒す恐るべし慎むべし。

 

  和歌五音七律なり。是れより成りたるは倭言葉なり。元本天神教え下されたるなり、木火土金水五つ、この五つに月日にて七律日月火水木金土。人間口程充満成る物はなし。心を真に改め陰徳を積みたる人の言葉は、風に草木のなびくと同じ事なり。尊き人の言葉にて人心柔らぎ、悪人も善人となり邪を正と改め、国乱を平治し衆民太平謡い歓喜を唱うは最初真実の風、即ち言葉口なり。ことばは口の陽なり、心は奥なり陰なり、言葉の元は五音なり。あやちは六台六物なり、六台とはかしこねの尊也。

 

 神様の御話しをなし、又御諭しをなす時総て誠から出た言葉は月日の代理である。徳を積んだ人の息程人が動く。又教祖の御言葉是れ皆神様の御言葉也、此の世は言葉の理で治まる世界である。

 又賢いと云うは言葉にて人を満足する様、得心の出来る様、治まるよう舌一枚の動かし方にて風を吹かして行く事。風の吹かし加減によって人間は人に不足腹立ちさす事も、喜ばす事も出来る。

 

此の言葉は心の根より出る、木の葉でも幹から出る如く、心に誠が無くては人の助かる。満足与える事が出来ん、其の真実の言葉が出ぬ。情けと慈悲から云うた事はどうしても人が有難いと感ずるようになる。たとえ一時は腹立ち反対するとも後には頭を下げ従う事になる。

 

情けと慈悲の心でさえあればどんな事にも勝てん、此の二つは月日であるから月日の代理である。月日様に勝つ事は出来ない。此の世は誠さえ有れば神が守護あるにより結構に通れる、誠の無いものは通れぬ御道一条は尚更の事、此の世は月日の誠真実と云う実の世なり。人間は神様が元々長らくの御苦労下さって五十音の吹き分け出来る。同じく聞分けが出来る故、如何なる事も自由用に言葉を以って通じ陽気に勇み面白く世を渡る事が出来る。物が云えず聞き分け出来ねば獣類の如きなり。

 

 言葉の理、働きにて如何なる得も積む事出来るが、又如何なる害毒を成し及ぼす事もできる。他の動物は一音か二音だけが云えんのである。神の大恩を知らずして強欲悪気の心を以って人を倒し、人心を害する風は神の理として守護出来ぬ理を生ず。其の理に迫れば物の云えぬ身を借り、又畜生にでも落とさねばならん理が出来る。

 

 言葉は六く誠の神様の御働きなり。言葉の理にて世の中の人を助ける徳を有する人は勿論、或いは美声を有して人に楽しみ喜ばしむる徳は皆天の理に叶うた心の理有る也。又徳が無ければ人が聞かぬ、用いぬ。徳を積んだ人の言う事は人の為になる、誠のない心から出る息は害をなす、暴風にて物を倒し害をなすと同じ。