おおとのべの命(大戸邊尊)


  引導主(導きの神引出し引伸ばし一切進退伸び縮みをさして下さる神)

 

 此の神様は、人間に万事引き与えたきが一條の御心にして、人間手足に付き添い働き、働き一切、金銭食物、其の他一切の万物を引出し、引伸ばして下さるは即ち与えるが為、各々自由を満足に与えるが為也。

 身の内にては、産まれ出る時引き出しの守護。日々は成人させて引伸ばし下さる。又身体伸び縮み自由自在をさせて下さる働き一切、身の内にては三千六百筋の切れぬよう力を以って働かせ、筋伸び縮み力の守護働きさして下さる神様なり。

 

引出す事は一切万物此の神様故(勿論有形無形共)見分けする事、世界にて草木粒毛万引出しの守護。全て衣食住に供するものは皆地より引出されたるもの也。山よりは金銭の出るも商売にては売り先得意、買い手を引出し、手先布教すれば御助け先、信ずる者、皆万事相手引出しの守護。世の中に引出すもの、引出す道具又引くものはことごとく此の神様の理にて出来たるもの也。

 

 百姓なれば鋤鍬鎌等皆働きに使う道具、外に出る道具は皆引出しの道具故に、此の神様の理なり。山よりは金銀銅鉄を始めとし、材木薪炭鉱石石炭の類、海よりは魚貝海草苔の類、地よりは五穀野菜を始め、一切人間の用に立つもの引出し下さる。

此の神様の理が有って、世界中の物が勢い有りて出て来る力、伸びる、登る力が有るなり。引く力も同じ、草木粒毛に限らず、有形無形引出す理は皆同じ事。此の神様の御働きによりて万物が伸びる、登る。伸びざれば何物も用に立たぬ、草木でも地について居たら花も咲かず、実も乗らぬ如く、人間も此の世に引出し伸ばし、成人さして下さるで人間の働きが出来る。万物を引出して与えて下さるで、衣食住は勿論見て楽しみ使って楽しむ。

 

 身体も伸び縮み自由が叶う故、思うまゝに動く事が出来る。動物一切の働き、伸び縮み、身の内器官の働き自、由自在の運転、全て何物でも引く力は一切此の神様の力なり。物を引出す理は何が引出して有っても、皆此の神様の理。例えば何程御助けしたいと思うても、此の神が引出して下さらねば出来ん。人が相手に成らねば何事も出来ん。商売でもすべて皆同じこと。

 

或いは文字、書道等の上手、手筋のよいとは此の神様の理にて、前世で文字に付いて埃が無かりしもの徳が積んで有る理、又心に賢い所があるなり。手の器用等も同じく、つまり高慢なき心の理。出世神と云う、人に与える心、例えば御道なれば聞きたい者には十分聞かす。全て我が身の欲、高慢を去って惜しまず、時間も惜しまず満足さす。与えるという此の心に成るから力が何程にても出来る。

人を出世さす、引出す心が我が身の出世来る心にて、天より与わるなりもの。我が身引きにて惜しみ、全て高慢にて人に与えぬ心は出世の出来ぬ心也。又苦労と失敗と艱難の境遇に多く接して来た人程、行き届く心広くなる故、出世が出来る。

 

 又身体伸びぬは草木も肥が足らねば伸びぬ、太らんと同一。人間も人の事に尽くすという肥が足らん、前世より徳を積まず、我が身引き、身欲の事ばかり心をよせる小さいこすい心。種は神の分心故、大きくなるべきものなれど、心小さくして種に勢力のなきと同じ。一人前より低きは人に徳を取られたる理、高慢にて心小さく行き届かん心。低いものは徳を積んで高くなる。高慢と云うは心の小さいものなり、届かん心。

 

 例えば、草木の根にゴモクを沢山施せば肥となりて定外の太きものに伸びる如く、人間もゴモクをかぶる事が嫌いで有ったゆえ、心が少量にて、或いは人の云う事が気に障り過ぎ腹立ち、負け惜しみ、高慢で身を惜しみ、ゴモクをかぶって肥となす事を知らぬ理から太らんが如し。伸びるは其の道に徳を積む理。伸びぬは同じく前世より心の埃にておおとのべの尊の道を止めて居る故、伸びるべきものが伸びん。

 

 又つる類一切は此の神様の理。つるになる実も同じ事、つる類は沢山有り全て粒毛草木山にも、野にも、穀物野菜豆類等有る如く、皆此の神様の理に依って成長成木して花実を結ぶ。皆人間万物に与えるが為に御働き下さるなり。身体筋伸び縮み、自由筋が全身に行き渡りて一分の不足なき御守護下さる通り、此の神様は隅から隅迄行き届く、抜け目の無い御心故、よく人を教え導く実力を以って人に満足を与えるという。神様なれば高慢や我慢や自慢が嫌い也。

 

えば我々が精神を磨く上に付いても神様が御守護下さったら神様が知らしてくれたらと云う様な心が即ち間違った心で高慢である。自分が十分に精神を凝らして行くから其の真実の心に乗って其の度胸を見て神が如何なる事も成して下さるものである。いわゆる実践躬行で行うて我が心を練り試して真に実行して磨く心なれば必ず神の守護にて物事熟達進歩して引き出して下さる。

 

此の神様は高慢が大の嫌いなり。身体伸び縮みの不自由筋に係る病気は勿論、引出し引き与えに関する有形無形の不自由はことごとく此の神の御意見なり。世の中の物何に限らず出て来るもの、出て来る事一切此の神様の理にて始まるもの故、草木粒毛がヅン/\と伸び出て昇るのみならず、動物も同じ事。全て舟車汽車電車何に限らず引出す理は此の神様の理なれば心の理も同じ出る理。引出す理は同じ事なり。

 

 此の神様の心は心低くしてよく働く、人を引出す導く心、人に教える、人に与える心、引き立てる、引き連れる、人を世に出す、押して出すという心、手引くという心、低い広くして人に満足を与えるという心は親心、情けなれば最も尊き心にして我が身に徳が付くもの故、実力備わりて出世成功する心なり。