顔 之 部

 頬はれ 云いべき事を云わず不足を心に持つ。

身がこいの埃

不足に思いて何でも言うてやろうと憎みをたくむ。

又恩返し足らん他人に世話になりて恩忘れる理腹立ち人に腹立てさす

 

にきび (主に顔に生ず)うそを言うと云う理にして例えば自分で出来ん事を思い過ぎる理埃也。又善き事にても思うても行わん故うそになる理も有り。又男女の思い過ぎなども有り。

 

霜焼け雪焼け (凍傷凍瘡)に実がなくて慈悲の心のない温かみの心がない人を口先で使う事を何とも思わぬそれで人に不足積ます。骨惜しみ身惜しみ金銭惜しみ心のきたない理も有る

○例えば寒さにあたりて焼けると云うは男目上の言葉親切を無にする不足続がぬ欲我が思う事を先にする如し。

 全て顔に出来るものは人と心が合わぬ理であいつ見たもない顔を合わせぬと言うが如く心敵に持つ理。又全て自分の顔をよくする為とかよく思われたいためか我が顔を立てるためとか埃を作り或いは人の顔をよごすとか或いは顔の合わせられぬ心得違いの事をなすとか顔合わすが嫌なとか。

 

なまず 心のきたない埃で現われる又前世色情に関したる間違い金銭続ぎを切る色にいやしい(月経中に宿る者も有り)なまけるなまくらと云う理が有り楽をして甘い物を食いたい人に慈悲心乏しくなまずはかばちだけは大きい物を一呑みにしようというが如き理も有り。

  例えば御道上で言えば人の永年間御苦労せられし理を一呑みにし丸呑みにする。丸呑みなれば分らん慈悲と言う火を一呑みは入るで焼けて黒色になる如き理も有る。例えば女が夫に金を儲けさして我れが自由にしえらいものになってなまくらす如く、腹に出れば腹はくもよみの尊様故親の丹誠したものでもなまくらして楽をして飲み食う如し。

 背に出れば背はおおとのべの尊様親人の骨折り働きを気ままに費やすとか、首に出るは親に対して金銭でも続がず己の気ままに費やし親にかからぬ理となる如し。なまずもはなはだしいものになれば、前世色情欲情にて恨みを受ける等、りんしょくにて宝をかくす等一定にあらず。

 

あざ 其の場所と重軽色合い等全て現状を見分けて悟るもの故一定にあらざるが、前世に色情又は欲情に付いて恨み争い遺恨を含み欲深ききたなき根性から或いは人の顔を潰し顔汚しをなすとか、人の心を焼かす事人のいやらしき嫌う様な事人を騒がす様な、全てあだな事ばかり成したる埃であざと云う理なり。

  例えば前世にて色欲強欲の為に大恩有る人を仇にしてきずつけるとかいわゆる人の顔に泥をぬる如き親不孝恩を仇にするとか世上に顔出しできない事をなすとか、或いは色情に付き十分人をにやし、又は十分人をねたつみて通る。

 又前世に非道なる色情間違いをなし、女なれば夫の目を掠め、不埒を重ねたる陰の仕事が今世表面に現るるものも有り、或いは火を粗末にして人の家を焼き、多くの人に恨まれる。是れも我が心得違いより人に迷惑掛ける等の理もあり。或いは火難に乗じて人のなげきも顧みず、金銭物品等を隠し取る如きもあり。

 又は頓死をなしたる人の金銭財宝を取り合いの争い等もあり。或いは前世に恨みの為に人の家に火を放ちて焼く黒燃えとなす(黒あざ)多くの人を騒がし多くの人を苦しめ泣かし天理の財物を焼き灰となす。

  燃えきらぬ内、消したものも有りて(赤あざ)大悪事を成して、それが人知れず通った罪火の手を上げて黒燃えとなし、、何れも其の時に当人が眺めて自分の成した事ながら如何にもむごい事をしたと思うてため息をつく。其の理が顔に写り、前生の心行いの其の印が表面に現われて、人に嫌がらるる理も有るなり。あざもごくひどおなると牛馬の先道となる。

 一例 婦人鼻の側頬にしこりが出来る親夫にはいやな事をさせて我れ身を惜しみ我ればかり味よき物を食いたい人にはまずき物を食わす心の埃。

 

起瘤(こぶ) は顔に限りたものではなく又油こぶ血こぶ粕こぶ等種々あり。心の凝り固まる欲に固まる埃。所に依って理を分ける。

  例えば人に恩に預かりても返さん欲にて何とも思わん如く。色情欲情に付き心のこり固まる思い重なる欲の固まりにて全て人の恩をきる。前世取り込みの欲。又善き事にはよう云わず悪い事には我が因縁から云い張る欲の理或いは出過ぎて人の邪魔する如き理もあり。