はらだち

  腹立ちは立つという御守護はつきよみの尊故、人間も立つ御守護の理を受けるで立つと云う性が出来てくる。骨が立つ、足が立つ、 一道具、身体が立つ、腹が立つ人を立てぬ、立てる心が無いから腹が立つ。堪忍すれば人が立つ故、天理の叶う両方は埃立たぬから堪忍せねば喧嘩口論となる、腹立ちより憎みになる。

 

 腹立ちは不足から気の短い疳と云う癇癪疳敵、腹立ちは心が敵になるから此の神様の理を無にする故身が立たぬように成る。人間は立てねばならぬ所を立てぬ故腹立ちの埃が生ずる也。我れが思いだけ、我れを立てる心ゆえ腹立ち。例えば神様に頭を下げて神の教えを守るのは神を立てるなり、目上の云う事すべて人の云う事を聞分けて用いて従えば、人を立てる故人と続がる、我れの徳がつく進歩発達する心なり。又人が我れを大切にする如し、人を立てる心が我が身立つ理。

 

 人を立てる心なれば腹は立たぬ。例えばあの人が云うのももっともであると思うたら腹は立たぬ。如何程腹の立つ事が我が身に係るとも、我が身の因縁たる事を顧み、我れの埃我れの行き届かぬ点を悟りて足納の理を治めて、堪忍辛抱して神様は人が何事云おう共、神が見ている気を静め、と仰せ下さる通り、皆其の内に我が身の助かる道が有るなれば気を長く、人を切らず我が心を澄ます心が神の御心に叶う。心懺悔が出来れば腹立ちの事情が必ず無くなる。

 

 此の神様は何でも人間を立てる、人の心の立つよう、思いの立つよう/\の御心故、短気腹立ちて人を踏み付け、踏み倒し、踏み潰し、人はどうでもかまわず腹立てても我れの思い我れの勝手だけ立て通そうとする心が御嫌いである。人間の心の悪の方が神より強いから神を無にする、神の理を止める、入込めぬ故。御意見となる。

 

 人を立てば我が身が立つ、人を助けて我が身助かるとは天の理、即ち神の心を立てるから我が身が立つのである。人間に対する間違い、人を立てんというのが神は天理、身は天理の借り物、人間には神入込む故神を立てんと同一である。人を立て、理を立てゝ我が身立つ理が此の神様の心なり。

 

 高慢の心より、人を届かんもの無理なるものと思うて人を不足、腹立て、我れの欠点は顧みず、我れが偉いと思い人を見下げて行くと段々と高慢心が高じるから、つきよみ様の人を立てんという埃になる。黄が濃くなって柑色となる理、自慢我慢心は此の内に在る。思い切らねば立たぬ。我が身、我が家の我欲を思い切って行かねば、人を立てる人を助けるという誠にならぬ。例えばたいしょく天の尊が胎内から切って下さるから生まれ出る。それで家が立つ世界が立つ、すべて此の神様の切り分けが此の世の働き誠の初まりなり、切るから続がる。

 

 例えば人に憎まれ悪口云われ侮辱あざけられ、或いは人が反対し我れの意見を用いぬとて怒り腹立つ時、よく/\我が身を顧み我れの欠点因縁を悟りて、心を穏やかにして気長く前後を考慮して、心を沈め我れに欠点有るから神が知らせて下さる前世因縁懺悔をさして下さるのである。我れに欠点あるから人が云う人は神なり我れが綺麗に成ったら、人も云わぬ腹立ちの事情も無くなる。我が心が濁るべきものでない我れに泥があるから心が濁る澄まんと堪忍し、足納する心は誠。人を続ぐ天の理に続がる我が身の立つ理故、我れの心が作れる徳が進む如し。

 

 腹立ちは心が濁るため誠を失い、平安ならず人を憎み喧嘩苦舌を好み、一家一村社会の平和を破る。激しきものに精神上の錯乱を来たし、あたかも晴天にわかに掻き曇り夕立の起るが如く、如何なる智者学でも是れが為に前後の思慮分別をかき、失敗を招き甚だしきに至りては一身一生を誤り、或いは人を殺害し、一家一国をも滅亡するようになる恐るべきは人の心なり。

 

 昔より一時の腹立ち怒りのために一身一家一国を滅ぼしたる実例は沢山有るが如く、疳は欲から起り疳の下には刃有りと云うて、七なり刀なり切れる疳の起った時は危ない。如何な事でも成す人間は勿論獣類に至るまで恐ろしい(腹立ちの恨み悲しみの肉体に大害をなす事は無論なり。)それ故に人間は堪忍と云う事が大切なり誠なり、誠なくては堪忍が出来ん堪忍は耐え忍ぶ忍は刃に心。いわゆる成る堪忍は誰もする、成らぬ堪忍するが堪忍という如し。

 

 気の短きは無学同然と仰せられた如く、全て見学、聞き学、学問をするは事物の理を知り、心を広くするべきものなれば物事をよくわきまえた人程堪忍するが至当である。天の理を治め、よく物の分った欲の切れた即ち情の有る心で人の心をよく見分ける方から、人に負けて堪忍するから身に徳が付く。分らん者の堪忍足納出来ぬは理の当然故、親心ある方から堪忍するべきなり。其の徳に人が感化して敬い、我を立てゝ来るから不足腹立てる必要がなくなる。誠程強いものはない。誠は月日なり月日に勝つ事は出来ぬ。此の心は忍耐寛仁寛大寛容とも書く如く、人間の最も美徳なり。

 

 骨に係る病は皆腹立ちと云う理が有る。骨の病の懺悔は人の身人の心を立てにゃならんと云う心になりて、人の心に骨折る、心を尽くす。家でも柱は内に有り、骨は内に有り見えぬ所に有る如くで陰の徳を積む。見えぬ所の働き人を立てる理の必要あり。埃を作った心使いも此の利から、口に出たら憎みの埃となる。