鳴り物の意味

  なると云うは言葉に理ある故、音の鳴るも木の実の成るも物事の成るも理は同じ。是れを字で書けば違いあれば、共文字は物事色々の品を分ける為に後に出来るもの。

 名は元なり、言葉が先にて天理より名が付く名に理が有る也。なると云うは月様の理、世界くるりと包め給うて守護下さるで何事も成って居る理。

 又神楽勤めに鳴り物九つを使うと云う理は、此の世人間は月日、御苦労九から始まり九の(苦)世界人間は九の胴というは九つの道具の借り物也。目、耳、鼻、口、へそ一の道具、手足首の九つ。

 又世界の人間は産に広まり(三)水火風三つ衣食住三つにて命を続ぐ。人間は心と口と行いとの三つで、三三が九と云う。此の九(苦)を勤めるを人間の勤めとす。

 故に神様の勤めにも九つの道具を使う理なり。人間万物は天地神様の息で育ち成人する所の理を合わす神の心と調子を合わす理なり。

 

 拍子木で辛を取るを、人間宿し込み体内で理が増すのも、産まれるも、夜昼成人するも、粒毛草木育つも、花咲くも実の乗るも、味の付くも、万物皆月日の指図、四季日夜四季にて定まる定規なり。

 木は真直ぐよく添え付く故、其の陰陽の理が合えばなる。心合えば成る故に上役の人にて拍子木を辛という。琴は、こは月日親様の光の理、とは十柱の神の理、糸十三筋は、十柱神。三は天地人。又一年十二ヶ月に潤の一と月を入れてある。

 

 又世界万の事が神の光也。鼓は羯鼓もほぼ同じ理、つは切る事、みは水の事、水は続ぎ、上下同じ丸く中を縄にて十文字にかけ続ぎ締めて有るは切る事を続ぐ(続ぎの神様の理にて)天地抱き合わせの世界に夫婦の縁を続ぎ下さる所の理を打つ。

 胡笈とは人間万物事のきゅうが第一。心の味わいこは月日の光、きゅうは九つの道具の理、天地陰陽張り合い、持ち合い心のこきゅう。又息をする事をこきゅうという。

 

 すり鉦、金は此の世の続ぎの理、心の合うをかねと云う。双方の事をするをかねると云うが如く、又物事に当りて成す事をすると云う如く、又二本の棒にて打つは一家では夫婦の理にて、心を合わして刷れ合わぬ様心に立て合うてすれば、心の合うをちんちんと云う如く、きまりよく何事もちんちんとよく成る理。

 笛とは風、人間上下共に其の風なり夫は夫の風、妻は妻の風其の風さえかけばなる、吹けばなる風栄、物の殖え栄える理、即ち風は息言葉なり、風は天地の息にて万物生きて行く最も大切なるもの也、穴八つは八方揃うて吹くと云う理。各々其の風本分を守り睦まじければ物が殖える成る理。

 太鼓は大きい事を大という。こは光る、遠音響くは太鼓也。表裏張り〆たるは月日、天地を抱きしめる理。ぐるりを鋲にて締めて有る、鋲は月日の理、此の世界を月日で締めている理。誠は月日の心にて大きく光り遠く響く物の長たる理。

 琵琶の糸三筋は水火風三つの理にて天地人を続ぎ合いの理で、(三味線もほぼ同じ理)胴竽根締め心のねじめが第一なり。

 笙とは正しき真を笙と云う、又人間に子の宿る時情合いを正という、濁りなき心の理、正の事とは違わん事を云うなり。

 

  九つの鳴り物を入れて勤めをするは月日、夜昼二苦身の内世界九つの理を合わして二九十八、十八は陽気と云うて二九となる。心の苦を忘れ心勇めは肉となる、身体は肉が元、水気温みが是れ陽気也、神の心に合わして勤めは神勇む神、勇めば人間万物皆勇むゆえ、陽気勤めと云う。

 又ひちりき、鳳、笛、龍笛の三竽を合わす是れは最も古くより伝えられたるが総て此の世は三つ揃わねば完全成らぬもの音律の名を一、平、双、黄、盤、大中小の三曲、又祥事弔事四季等に依って奏楽の法式有りて俗に八十八曲と云う此の雅楽の由来中々深し。